Webディレクター解体アドベントカレンダー最終日の記事です。今から4年前にも、アドベントカレンダー最終日の記事を書きました。それは、ディレクターにとって気持ちが一番大事だという、些か青臭い話です。
あれから4年、早いものですね。今読み返すとちょと恥ずかしいほどエモいこと言ってますけど、まあでも、今でもそう思ってます。やっぱり物事を前に進めるって言うのは、スキルとかテクニックとか、そういう技術だけでは補えないものがありますよね。
特にサービス開発って、絶対すんなり行かないじゃないですか。絶対途中で何かありますよね。何のハプニングもアクシデントもインシデントもない大規模プロジェクト、今まで1つでもあったかな。規模が大きくなればなるほど不確実性は高まるし、だからこそ小さくイテレーション回しましょうっていう話になるんですが、それだってずっと回し続けるの大変ですよね。進む方向を指し示して、チームを鼓舞して、改善すべきところは改善して、ひたすら前に進み続けるっていう。
気持ちの強さを求められます。タフで頑丈でいつまでも諦めない強い気持ち。そんなものを部下に求めたらすぐパワハラで訴えられるご時世だから、人に強要することはできませんけど。
でもそれが必要な素養なんだとしたら無視できません。実際、その重圧に耐えきれずに体を壊した同僚も何人か見てきました。気持ちの強さ、避けて通れないと思うんです。必要だと思っている素養に、目を瞑り無かったことにするのも誠実じゃないですからね。
最初に決める
私の趣味は山を走ることです。トレイルランニングと呼ばれる競技で、最近はコロナで結構レースも中止になってますけど、これまでにたくさんのレースに出てきました。距離はレースによって全然違うんですけど、長いと100km以上あったりして、これがまあしんどいんですよね。レースはゴールしたら終わりですけど、完走するためには日々ひたすら走り続けて長い時間山を走り続けられる体を作らないといけません。
この日々のトレーニングがまたきつい。暑い日でも寒い日でも、ずっと走り続けないといけないわけです。私はいつも仕事の前に朝早く起きて走りに行くんですけど、最近はもうめっきり寒くなって、布団から出たくなさすぎるんです。あったかくて気持ちのいい布団から出ると、寒風が吹き荒れる田んぼや河川敷や登山道でハアハア言いながら走らないといけないわけですから。絶対行きたくないんです。布団の中で天使と悪魔が葛藤を始めたら100%悪魔が勝ちます。今日はまあいいかと。明日走ればいいじゃないかと。そうなったらもう、春が来るまで走れません。
人間、毎日毎日葛藤と戦っていたら消耗してまともな決断ができなくなります。日々の誘惑に打ち勝ち続けられるような強靭な精神力なんて持ち合わせてません。だから、最初に決めてしまうんです。そしたら毎日決断しなくてよくなります。あとは毎日機械のように決定に従うだけです。
これは来年の4月に出場予定の、富士山の周りを160km走るUTMFというレース本番までのトレーニングプランです。重い腰をあげて、先週このプランを作ってそれに従ってます。まだ1週間しか経ってないから偉そうなこと言えませんけど。
ポイントは最初に決断するということと、決めたらそれに従うことです。もちろん途中で脚を怪我してしまったとか、どうしても外せない予定が入ってしまったとか、様々な理由で予定通りいかないこともあります。その場合はその都度調整すればいい。でも朝起きた時に葛藤が始まったら、考えるのをピタッと止めて、思考を停止して着替え始めます。そうすれば、気がついたらもう走ってる。走っちゃったらしょうがないので、家に帰り着くまで足を動かし続けるしかない。心は無です。自分の決定に従うのみ。一度決断したら、あとは遂行するだけです。まあそれがまた大変なんですけど、毎日葛藤するよりはずっとましです。
週間予定を立てる
仕事でも最近は、毎週月曜日の朝にその週にやることを決めています。最初にその週のゴールを定めて、それを日々のタスクにブレイクダウンしていくんです。アウトライナーのDynalistというソフトを使って書いてます。
もちろん日々突発的な仕事が発生したり、予期していなかったことが起きて計画を変更しないといけないことも出てきます。それでも予め立てた計画があれば、その軌道修正で済むんです。
元々は日々のTODOをシンプルなリストで管理していたんですが、1週間単位で計画を立てるようになってずいぶん見通しが良くなったし、気持ちも楽になりました。
習慣が自信になる
心を無にして最初に決めた計画にしばらく従ってると、それがだんだんと習慣になってきます。そうなったら、もうしめたもんです。葛藤はルーティンになり、遂行の負荷はどんどん減っていきます。毎朝歯を磨く時に、歯を磨こうかどうしようかと迷う人あんまりいませんよね。習慣になってるから。自然と体がそういう風に動くんだと思います。
そして習慣は、自信になります。自分は何かを続けられるだという自信です。何か1つでも習慣にできたら、また新しい習慣だってものにできるでしょう。もう1回やってるわけだから。そしたら次の困難にも立ち向かえます。
サービスを開発していると困難に直面したり、辛いことがあったり、心が折れそうになることはたくさんあります。そうしたらまず最初に決断をして、自分の決断にまるで機械のように従う。そうやって1つずつ、乗り越えていきます。そうした経験の積み重ねが、決断と遂行のループを習慣にして、習慣は自信を生み、自信が強い気持ちを育むと思います。
このアドベントカレンダーも、やろうと決めたのは11月の後半でした。その時にやると決めて、目次を考えて、この日に記事を書きこの日は休みという日毎の計画を立てました。あとはそれに従うだけ。もちろん大変だったけど、やり切ると自信になります。今読み返すと、大した内容でもないのによくもまあ偉そうに毎日書いたもんだなと思います。それでもやり切った手応えと、これまで言語化してこなかったモヤモヤを吐き出してスッキリした気持ちが残りました。
明日からはこれまでに書いてきた方法論のことは忘れて、新しいことに挑戦できる気がします。昨日までより強い気持ちで。まあでもとりあえず、ずっと我慢してたサイバーパンク2077やります。めちゃくちゃ楽しみです。メリークリスマス。