会社を作った

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今日、法務局で登記の申請をしてきた。登記の完了はもう少し先だけど、申請した日が設立日になるらしい。2021年6月9日、ロックの日だ。そして父の命日、9月6日をひっくり返した日でもある。会社の名前は二宮企画株式会社。あまりに普通で何のひねりもない。せっかくだからと、ロゴを作ってコーポレートサイトも作った。

https://ninomiyakikaku.com/

会社のロゴは、丸に漢数字の二を重ねたもの。これはかつて、父が働いていた佐藤組というゼネコンの作業着に刺繍されていたものをモチーフにしている。丸に漢数字の八を重ねたそのロゴは、幼い頃の僕にとって働く父の象徴だった。キャメル色の作業着と、その左胸に赤い糸で刺繍されたマルハチ印。それが働く大人のアイコンだった。なぜ佐藤組なのに八なのか、わからずじまいだけど。

会社を作るまで

4月15日にはてなを正式に退社してから会社設立まで、1ヶ月半くらいかかった。手続き自体は会社設立freeeというサービスを利用して自分でやったけど、思ったよりもスムーズに進められた。書類仕事は苦手だけど、画面の指示に沿ってやっていけば誰でも簡単に会社が作れる仕組みになっている。会社設立freee、めちゃくちゃ便利だった。

時間がかかったのは、特定創業支援等事業を受けたからだ。通常、会社の設立には登録免許税が株式会社の場合15万円かかる。これが福岡市で起業する場合、特定創業支援等事業を受けると全額免除になるのだ。

初めての起業だし、財務や労務など全く知見のない領域の助言をもらえるということで、福岡市スタートアップカフェが主催する全4回の無料相談を受けてみた。全てオンラインで受講できて、事業計画書を見てもらったり社労士さんや弁護士さんに相談もできた。それが無料でかつ、税金15万円が免除になるのだからありがたい。さすがスタートアップにやさしか街たい。

ながれもの

で、会社を作って何をやるのか。

大変ありがたいことに、既に4つの会社さんと1人の個人からお仕事をいただいて、日々仕事をさせてもらっている。5つ仕事があると大変だ。1週間に平日が5日。1日に1つの仕事を進めるとして、1日でも調子が悪く進捗が無いと次に支障が出る。明日には明日の仕事が、明後日には明後日の仕事があるからだ。そうしてここ1ヶ月ちょっと、ヒーヒー言いながら日々仕事に追われている。

だったら何も会社なんて作らずに、個人事業主としてやればいいのではないか。何のために会社を作るのか。忙しい日々の合間を縫って起業の準備を進めながら、何度もそう自問した。何のためにやるんだっけと。起業関連の本を読んだり、朝走りながら考えたり、改めて考えるきっかけになった1ヶ月だった。

最初は、売り上げいくらを目指そうかとか、どれくらいのユーザー規模のサービスを目指そうかとか、目標を立てようとした。だけどピンとこない。何億円稼いだら何がいいんだっけ。何百万人使うサービス作れたらそれで幸せなんだっけ。よくわからなかった。

次にミッションみたいなことを考えた。世の中を豊かにしたいとか、クリエイティブな人を応援したいとか。確かにしたい。したいけど、応援って勝手にエールでも送ってたらいいんじゃないの。世の中を良くしたいって、自分はそんな利他的な人間だったっけ。本当に?

何度も自問してみると、結局一番やりたいことは、ヒットサービスを作ることでも、世の中を良くすることでもなかった。

自分が何かを企画して、人に見せて、触ってもらって、その人が面白がってくれたら、それが一番嬉しい。結局そういう小さいモチベーションで仕事してるのだった。それは目標でも使命でもなく、1つの手段にすぎない。でもその、面白いこと考えたいというプリミティブな欲求こそが、自分の根っこにあるものだ。

面白いことを考えて、みんなを楽しくさせたいな

打ち明け話にうなづいて、みんなと仲良くなりたいな

これはブルーハーツの「ながれもの」という曲の歌詞だ。小学校の頃にボーイスカウトに入っていて、油山のキャンプ場で先輩たちがよく歌っていた曲。薪を拾いに行ったり、水を汲みに行ったり、テントの溝を掘りながら、みんなで歌った。それでブルーハーツを知って、夢中になったものだ。

あれから三十数年、油山の麓の街で起業することになった。今、仕事部屋の窓から油山が見える。

面白いことを考えて、みんなを楽しくさせたいし、みんなと仲良くなりたい。だから色んな会社さんの色んなサービスの企画を考えたり、自分でも誰かと何かを作って、みんなの喜ぶところが見たい。それが会社を作ってやりたいことだ。がんばろう。

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