はてなを退職します

今日が最終出社日でした。溜まった有給休暇を消化して、正式には5月14日をもって退職です。入社したのが2007年5月1日なので、ちょうど14年間働きました。入社当時29歳だったのが今や43歳です。そう考えると長いですね。

僕がはてなに入社した時は、鉢山のインキュベーション施設の一室にオフィスを構える20人くらいの小さな会社でした。Web2.0ブームや梅田さんのウェブ進化論が話題になっていた頃で、憧れの会社だったんですよね。当時ヤフーで働いていて、業界では一番大きな会社だったからベンチャーのスピード感や情報をオープンにしていく姿勢が眩しくて、自分もこんな会社で働きたいと思って飛び込みました。

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社内で最初のディレクターだったのではじめは開発チームにはエンジニアとデザイナーしかいなくて、大変だったけど重宝されていろんな仕事をさせてもらえました。14年間の主な仕事をリストアップするとこんな感じです。

  • 2007年
    • ポケットはてな(ドコモ公式サイト)、はてなスター、はてなハイク、はてなワールドリリース
    • はてな既存サービス運用
  • 2008年
    • はてなフォトライフ、はてなキーワードリニューアル
    • うごメモはてなリリース
  • 2009年
    • Flipnote Hatena(海外版うごメモはてな)リリース
  • 2010年
    • はてなランドリリース
  • 2011年
    • 新サービスの模索と開発
  • 2012年
    • はてなOne、はてなアルバムリリース
  • 2013年
    • はてなスペースリリース
  • 2014年
    • ジャンプルーキーリリース
  • 2015年
    • あしたのヤングジャンプリリース
    • Miiverse運用
    • カクヨムベータ版リリース
  • 2016年
    • カクヨム正式版リリース
  • 2017年
    • GigaViewer(はてな製マンガビューワ)リリース
    • はてなブログ運用
    • イカリング2の企画
  • 2018年
    • カクヨム運用
  • 2019年
    • カクヨムロイヤルティプログラム開始
  • 2020年
    • 魔法のiらんどリニューアル

新サービスの立ち上げを担当することが多く、本当にたくさんのサービスを作りました。うまく行かずに終了してしまったサービスも多くて、毎回身を削り出すような辛さがあって大変だったけど、しばらくするとまた新サービスがやりたくて仕方なくなるんですよね。何度失敗してもその度にチャンスをくれた会社には、本当に感謝しています。

その中でも、任天堂さんと一緒に作ったうごメモはてな、集英社さんと一緒に作ったジャンプルーキー、KADOKAWAさんと一緒に作ったカクヨムなど、他の会社さんと一緒に作ったサービスには特別な思い入れがあります。パラパラ漫画の投稿サービス、漫画の投稿サービス、小説の投稿サービス。そのどれもが、表現する人のためのサービスです。

いろいろなサービスを作っていく中で、自分がだんだんと1つのテーマを追い求め、いつもそこに集約していくことに気が付きました。それは「表現する」人を応援したいということです。

僕は中学高校とずっといじめられっ子で、運動ができずかけっこはいつもビリ、勉強もできなくてFランクの大学にギリギリ入れるくらい。何の取り柄もなかったけど音楽と映画とゲームと漫画と小説が好きで、表現する人への憧れがずっとあったんです。それで、勝手に会社のミッションの画像を借用して、勝手に自分のチームのミッションとしていつも掲げていました。利益を独占してクリエイターに還元しないサービスに危機感があって、特にここ数年は表現する人に収益を還元する仕組みづくりを自分の使命だと思ってやってきました。

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じゃあなんで辞めるのかっていう話ですけど、一昨年家庭の事情で福岡に引っ越してリモートワーク始めて、去年コロナが流行してリモートワークが当たり前の世界になりました。

最初は一過性のものかなとも思ったんですが、どうやらそうじゃない。それに自宅かオフィスかっていう地理的制約だけの話じゃなくて、もう少し根源的に働き方や考え方が、世界同時多発的に大きく転換し始めてるんじゃないかって思ったんです。

そんな世界が変わる時に、その変化に自ら主体的に挑みたくなりました。もっと自由に、新しい働き方を追求したい。ただリモートワークっていうオフィス環境だけの問題じゃなくて、もっと根本的な何かが変わってる気がするんです。今までの組織のあり方が見直されて、新しい形が生まれそうな感じが。

強固な壁として存在した社内と社外を隔てる境目が、その地理的要因の緩和によってゆるやかに崩壊していくんじゃないか。そして、オフィスや組織で人を括るのではなくて、もっとソフトなもの、プロジェクトやゴールや志や思想のような、そういう形のないものを中心にもう少し緩いつながりが人々を結びつけて、ものづくりが進んでいくようになるんじゃないかと。

まあ、40過ぎて厨二病患者の見る夢みたいなこと言ってる自覚はあるんですけど、実際ここ福岡から京都のはてなに所属して、東京の出版社さんと一緒に組織の壁を超えた仕事を続ける中で、益々そんな思いは強くなりました。

それで、会社を辞めて独立することにしました。一応会社を作ろうと思っていますが、これまでの人を雇用して社員を抱え込むような会社じゃなくて、もっとゆるやかな、新しい働き方に適応したような形を模索したいです。組織の壁を超えて、いろんな人と一緒にサービス開発をやっていく会社にしたいと思っています。そして、表現する人や創造する人を応援する仕事ができたら最高です。

とは言え、先立つものも資本金もほとんどありません。だからまず今の仕事の延長で、いろんな会社さんのWebサービス開発を支援する個人事業主のような形から始めようと思っています。Webサービスの企画、コンサルティング、ディレクション、プロダクトマネジメント、ユーザー調査、Webディレクターの教育など、自分の得意としてきたことで組織の壁を超えた貢献ができたらと思っています。もしかしたら数ヶ月後に何の仕事も取れなくてしれっとどこかの会社に就職しているかもしれませんが、この机の上からぎりぎりまで挑戦してみたいです。

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はてなの皆様、14年間本当にお世話になりました。最後にタッキーやtくん達が飲みに誘ってくれて、めちゃくちゃ嬉しかったです。また飲みましょう。