Webディレクター解体アドベントカレンダー14日目の記事です。今日は企画を通す時のプレゼンテーションにもつながる、スピーチについてです。相手に伝わる話し方と、自分がスピーチをする時に絶対に守っている掟について書きます。
スピーチの話し方、今から9年前に習いに行ったことがあります。コトハナセミナーという話し方のセミナーで、京都のホテルの広間に約3ヶ月間毎週通って、スピーチでの話し方を教えていただきました。実演もあったりと非常に実用的な内容で、スピーチをする時は今でもずっとその時の教えを守っていますし、スピーチ以外でも人前で話す時や相手に何かを伝えたい時はいつも意識しています。
その時に習ったことの中でも、ずっと守り続けている掟を3つ紹介します。
その1. 大きな声で相手を見て話す
スピーチは、話す内容以外の部分で良し悪しの8割が決まると言います。確かに私がこれまでに聞いたスピーチの内で、最悪だと思ったのは聞こえないスピーチでした。何を言っているか聞こえない。その状態でその人が話している間じっと待っていないといけないのは、時間の無駄でしかありません。まずはっきりと聞こえること。それが第一歩です。
かろうじて聞こえたとしても、下を向いてボソボソ話していたり、一所懸命紙を読んでいたり、モニタに移したスライドばかり見ているスピーチは心に響いてきません。ずっと何かを読んでいる時なんて、後から資料読めばいいやってなりますよね。手元にスマホあったらソシャゲ始めたくなります。
でも話し手が必死にがんばって話していたら、こちらもちゃんと聞こうという気持ちになりますよね。相手の目をしっかりと見て、身振り手振りを交えながら、大きな声で話す。聴衆がたくさんいる時は、1人に目を合わせ、次にまた別の人に目を合わせ、そうやって順番に目を見て話します。プレゼンをしていて資料を投影している時でも、しっかり相手の目を見て話していたら、資料から顔をあげてこっちを見てくれます。
それでやっと、聞いてもらえるスピーチになります。それでやっと、スタートラインに立てるのです。
2. 自分の話をする
スピーチの内容としては、絶対に自分の話をするようにしています。3つの掟の中で一番重要だと言っても良い教えです。自分の話をすること。とにかく大事なことです。
これまでに聞いた退屈なスピーチを思い浮かべてみてください。私は小学校の夏休み前日に聞かされた校長先生のスピーチを思い出します。昔中国の故事でこういう話があったとか、最近読んだ新聞にこういうことが書いてあったとか、夏の暑い体育館や校庭で聞いてたら気を失いそうなほどつまらないスピーチです。
そんなことよりも、校長先生自身が小学校の頃の夏休みをどんな風に過ごしていたか、自分の体験を自分の言葉で話していたら面白そうだと思いませんか。何十年も前の自分の体験。それはその人にしか話すことができないその人だけの物語です。
もちろん、自分の体験とは少し離れたことを話さないといけないケースもあるでしょう。例えば新サービスのプレゼンテーションの場で、自分の興味の領域とは少し離れたサービスドメインの提案だったりするときです。それでも私は必ず自分の話を盛り込みます。ほんの少しでも、必ず入れます。
最近の市場がどうとか、若者の間でこれが流行ってるとか、今時代はIoTでビックデータがどうだとか、そんな話は大して面白くない。だけど自分の体験は自分にしか話せません。私は今まで一度も描いたことがなかったけど、今回描いてきましたと。それでこういうところで躓いて、こういう苦労がありましたと。だからこういうサービスにするべきだと思ったと。自分の体験をもとに自分の言葉で話せるとやっぱり強いし、単純に面白いです。
本の内容を紹介するときでも、その内容に絡めて自分の似た体験エピソードを1つ入れるだけでだいぶ違います。話の全てが自分の話ではなくてもいいけど、必ず何か自分の話をいれましょう。これが2つ目の掟です。
3. 練習する
最後は、スピーチやプレゼンテーションで話す内容を決めて、ちゃんと練習するということです。練習するかしないかで全然違います。だいたい、スピーチの時間が3分とか決められていること多いと思いますが、練習もせずにどうやってその時間を守るのでしょうか。ぶっつけ本番で話し始めて、3分経ったらぶつ切りですか。それとも顰蹙を買いながら話し続けますか。どちらにしても、聞き手のことを考えていない独りよがりのスピーチになってしまいます。
まず、原稿を書くのがベストです。ただ長時間にわたるプレゼンだと、話すこと全部を書いている時間はないでしょう。その場合は箇条書きでもいい。ちゃんと話す内容を整理しておくことが大事です。スピーチの場合はやっぱり原稿があった方がいいです。そして、本番では原稿は読まない。最初の掟の通り、相手の目を見て大きな声で話す必要があるからです。原稿を見ないで話すには、練習するしかありません。だから練習は必須です。
これは私が過去にやったスピーチの原稿の一部を記事にしたものです。スピーチの時に書いた原稿ほぼそのままです。会社の朝会で話したスピーチや、父のお葬式の喪主挨拶、妹の結婚式の挨拶もあります。どれも最初に原稿を書いて、その内容を頭に入れて、マイク一本で話しました。
練習する時のポイントは、丸暗記しないようにすることです。話の流れとポイントを頭に入れていきます。いくつか話が切り替わるポイントがあると思うので、その冒頭の数単語だけ覚えておくと効果的です。スピーチの場って結構緊張するので、丸暗記しているとパッと飛んでしまってわけわからなくなることがあります。次に何を話すのだったっけと、道順を見失って右往左往してしまいます。
でも最初の数単語だけ覚えておいてまず口にしてしまえば、後は意外とその場でつながる言葉を選んで話せます。だからポイントだけ覚えておいて、詰まりそうになったらその次の話の冒頭だけ口に出してみる。そうやって紡いでいくと、緊張に強いスピーチになります。そのために少なくとも各ポイントは覚えておく必要がある。3分のスピーチなら1回練習したって3分です。そのスピーチを聞く人が10人なら30分、100人なら300分をもらうんです。3分くらい、大した時間じゃないはずです。
人に何かを伝えたい時
こうしたスピーチに関する教えは、自分の提案をプレゼンする時にも大いに役立ちます。提案相手の目を見てはっきり大きな声で話す。資料見ながら下向いてぼそぼそしゃべらない。業界がどうとか市場がどうとか周りのことばかり話してないで、自分の話を必ず1つは挟む。そしてプレゼン前にしっかり練習しておく。プロジェクターで映すなら事前にちゃんと映るか確認しておく。紙でプレゼンするなら事前に印刷しておいて、自分で紙をめくりながら実際に発話して練習してみる。
今日はスピーチをする時に守っている掟を紹介しましたが、人に何かを伝えたい時全般に活かせると思います。