自負を売る仕事

企画というものを生業として仕事しているけど、企画ってふわっとしていてかちっとした形がない。我々は何を売っているのかということをたまに考える。

企画は誰でもできる。もちろんいろんな専門的な知識とかスキルがあるとより精度の高い企画に仕上がる確率は上がるけど、知識やスキルがないと絶対に良い企画を立案できないかと言われたらそうでもない。一方、エンジニアリングやデザインは専門知識がなければできない。

専門知識に裏打ちされたスペシャリストに囲まれた開発チームの中で、企画職は何を拠り所として自らの案を通すのか。特にまだ経験の浅い企画者の場合にどうしたらいいのか。もちろん拠り所は人によっていろいろで、自分の出身や得意なことによると思う。だけど1つ、時間さえかければ誰でも得られるものがある。それは誰よりも企画について考えているという自負だ。

誰よりもそのことについて深く考えている、誰よりもそのことについて多角的に考えられているという自負があれば、企画内容について質問された時や突っ込まれた時、改善提案を受けた時に自信をもって答えられる。自分が考えた経緯を話してなぜ最終的にこの案に落ち着いたのかを説明できる。そういう思考の深さがあれば、打たれ強い企画になりいろんな人の意見を受けても折れることなく、むしろ柔軟に取り入れられる。自分の思考にちゃんと根が張っていて幹があるから。だからもし、関係するステークホルダーの中で自分が一番このことについて考えられているという自負を得られるまでは、企画を練り続けないといけない。

そう考えると企画者は、企画そのものじゃなくて自負を売っているのではないか。誰よりも考えているという自負。かつての企画書とプレゼンテーションで通ったものをそのまま開発する時代から、不確実性の波に合わせて柔軟に開発内容を変化させる時代へと変わってきた。だから余計にそう思う。