ネバダ

去年の10月にアメリカの Hatena Inc に出張で行きました。そこで新しいサービスを作ろうと2週間がんばっていました。最初の週が終わり、週末に合宿に行こうという話になりまして、どうせならカリフォルニア州から脱出しようということになったんです。

Hatena Inc はカリフォルニア州にあるのですが、アメリカというのはとても広いですね。隣の州と言っても何百キロメール先だったりして、なかなかカリフォルニア州を脱出するのは難しい。お昼前にパロアルトを出発して、id:jkondo が車を運転し、id:onishi と3人でお隣のネバダ州に向かいました。

80号線をひたすら走り続けます。頑丈な高速道路が山の中を貫いてどこまでも続きます。どれだけ走ったのかあまり覚えていませんが、州境を超えた時のことはよく覚えています。

車が山を登りきって道路が下りに差し掛かり、最初のカーブを曲がった時でした。それまで緑に囲まれていた周囲の景色が一変し、緑がなくなってあたり一面景色が枯草色になったのです。

砂漠が見たい、ひたすら真っ直ぐ伸びる道を走りたい。そんな希望を秘めて旅立った一行は色めき立ちます。この山の向こうに、どんな荒野が広がっているのか、想像するだけでワクワクしてきます。カーブを曲がる度、だんだんと枯草色の植物も少なくなってきて、期待は否が応にも高まります。

そして最後の山を越えて目の前に現れたのは、荒野に聳え立つカジノの町でした。リノというネバダ州でラスベガスの次に大きな町なんですが、ラスベガスほどすごい建物が建ってるわけでもなく、そこそこ派手で、そこそこ寂れてる建物が、そこそこ密集して建っていました。そんな町の外れにあるそこそこ清潔そうなホテルでその日は眠りました。

次の日、カリフォルニア州への帰り道をどうしようか悩みつつ地図を広げると、ひたすら直線に何十キロも続く道がありました。日本の地図はもちろん、カリフォルニアの地図にも載ってないような長い長い直線の道です。地平線の先まで真っ直ぐ伸びる道を見てみたいと、その道に向かって出発しました。

街の東の外れにあったホテルから一旦東に向かい、そして南下しました。ネバダの田舎道を進み、いくつかの町を通り抜け、緩やかな上り坂を上りきった時、いきなり目の前に現れたのです。どこまでもまっすぐに伸びる道と、その両側に広がる荒野。

みんな興奮して道端で車が停車するなり外に飛び出し、道路脇の枯れ草が広がる大地を歩いてみたり、記念撮影をしたりしました。道の真ん中に立って遠くを見ていると、この道を行けばどこにでも行けそうな、そんな気がしました。

nevadaそのときに撮った写真で、ダイアリーのデザインを作ってみました。「nevada」というやつです。日記に綴った過去が道のこっち側、どこまでも続く道の向こうが、日記の先にある未来のイメージです。ドリーミーなポエムです。

この合宿期間中に作ったサービスは、最後の日にリリースしないことにしました。作ってみて、自分たちで使ってみて、社内のみんなに使ってもらったのですが、いまひとつ何かが足りなかったのです。僕にとっては id:jkondo と一緒にもの作りをした最初の機会で、世の中に出せなかったことが残念でした。でもその後、何度か作り直した後、主な要素ははてなハイクに形を変えてリリースされました。道はハイクに続いていたと、そういうわけですね。

今度は家族と一緒に、またネバダに行きたいです。