Webディレクター解体アドベントカレンダー10日目の記事です。昨日は企画方法の一つとして、アイデアを閃く方法について書きました。
アイデアは企画の中でも複数の問題を解決するような、飛躍的な発想が必要なケースで出番が回ってきます。問題がシンプルで順序立てて考えることで答えが導き出せる場合は、論理的思考の出番です。Web開発の現場では必要に応じて飛躍的発想と論理的思考を使い分ける必要があり、総合的な企画力が求められます。だから他の専門職と同様に、普段から鍛錬をして鍛えておく必要があります。今日は企画力の磨き方についてです。
小さな企画から始める
企画も他の技術と同様で、まずは入門編として簡単な企画から始めるのが良いと思います。企画は誰にでもできるものだから、世の中にはそんな練習しなくてもいきなり大学生の顔写真図鑑を思い付くような天才もいますけど、少なくとも私はザッカーバーグではないので、そうしてコツコツ企画をやってきました。
企画における入門編とは何でしょうか。例えば「今週の日曜日に何するか決める」というのも企画の一つですよね。家族と何処に行って何をしようか考えたり、友達を誘って食事に行こうと考えたり、そういうのもミニマムな企画の1つだと思います。規模が小さいだけで、立派なイベントの企画ですよね。
もう少し実務的なレベルでの小さな企画だと、日々のサービス改善の中でもちょっとした企画があります。最近ユーザーさんからのお問い合わせが増えてるあの画面のわかりにくさを改善したいとか、最近コンバージョンが落ちてきたあの登録フローを改善したいとか。こういう課題が明確だったり、課題が1つしかない場合は考えやすい。こういうのを日常的に考え続ける癖みたいなのを付けると、毎日ドリルやってるみたいな感じで企画力がついていきます。以前紹介したユーザーフィードバックに毎日返事を書くというのも、まさにそれです。
勝手に企画する
Webサービス以外の企画をやってみるもの良いです。私がよくやるのは、勝手に他人の店とか事業の再生計画を企画するという遊びです。例えば妻と道を歩いてる時に、あの店いつも客入ってないよな、どうしたらいいかなと考え始めます。この立地だとターゲットとする顧客層はこういう層だから、まずはメニューから見直したほうがいいんじゃないかとか。いやまずは外装を見直して集客の解決が先でしょうとか。いやいやザルに水注いでも仕方ないんだから既存顧客の食後の満足度向上のために、デザート何とかした方がいいよねとか。そんな悠長なこと言ってたら潰れちゃうからまずはランニングコスト抑えるためにあの部分仕組み化しようとか。
勝手な想像で適当なこと言ってるだけなんですけど、想像力を働かせてどこにボトルネックがあって、解決するのにどんなアイデアがあるか考えるのも楽しいものです。そうやって妻とあーでもないこうでもないと、企画会議をするっていう遊びをやっています。
例えばエンジニアの人たちだと業務外の自分の趣味で何か作ったりとか、ソフトウェアじゃなくてハードウェアちょっといじってみたりとか、そういうところから仕事に活かせる技術力につながることって結構ありますよね。企画も同じで、やっぱり普段からやってると強いです。課題を洗い出し、目的を明確にして、解決策を導き出し、時には突飛なアイデアを思いついて、実行可能なプランに落とし込んでいく。そういう一連のプロセスを普段から考えていると、企画力がついていくと思います。
設計まで踏み込む
何をやるか決めるのが企画ですが、決めた何の具体性を上げていくと、企画がさらに膨らんでいきます。具体的な設計まで踏み込んで企画を膨らませて、また最初にもどって企画を見直してみるという方法も有効です。先に画面のイメージを考えてから、何をやるか決めるという主従が逆転したような順序でものを考えてみるわけです。手段が目的化してしまうと本末転倒ですが、思考が硬直したときにやってみると新しい道が開けたりします。
実際私も企画と同時に、よく画面の設計を一緒に考えます。XDでもSketchでも、Keynoteでもパワポでも手書きでも何でもいいんですが、こういう画面でここを押したらこうなってこういう遷移をするというところまで、勝手に描いて妄想するんです。実際、画面のワイヤーフレームが元になった企画も多いです。
とあるコンテンツのビューワを企画したときは、画面のイメージを描き出したのが最初でした。こういうビューワがあったらいいなというのが先にあって、その後にビジネスモデルやどこにどう提供するかを考えました。
ミニマムな企画には画面や仕様の設計までは必要ありませんが、あえて設計にまで踏み込んでみて、そこからもう一度企画を振り返ってみるということを繰り返していくと、設計から逆算するという手法で企画の幅を広げられるようになります。
俺より強い奴に会いに行く
学習というのは、フィードバックが大事ですよね。企画を考えて、企画をぶつけてみて、返ってきたフィードバックであそこが良かったとかそこの詰めが甘かったとか反省して、次に活かすっていう。そういうフィードバックループを回すのが大事です。そのためには企画力の高い、強い人に企画をレビューしてもらうのが効果的です。
実際、企画を提案したときによくわからない反応が返ってきたことないでしょうか。良いか悪いのか良くわからない反応だったり、どこがどう良くないのか具体性がない指摘だったり。そういう場合、どう改善したら良いかわからず、次に活かせません。
やっぱり強い人に本気で企画をぶつけてみて、本気のフィードバックが帰ってくる時が、一番強くなれると思います。実際に私も何度か震えるような強い人や憧れのあの人に自分の企画をプレゼンしてぶつけてみたことがありますが、今でもその全てを鮮明に覚えています。
格闘ゲームみたいですが、どの分野でも共通することなのかもしれません。強い奴を見つけるの大変ですし、そうそう見つかるものでもないと思いますが、見つけたら本気で自分の企画をぶつけてみてください。きっと良いフィードバックが返ってくると思います。