アイデアを閃く方法

Webディレクター解体アドベントカレンダー9日目の記事です。調査・分析フェーズで材料が出揃ったら、いよいよ企画を始めていきます。今日の記事では企画する上での論理的思考と飛躍的発想の違い、そしてアイデアを閃く方法について書きます。

論理的思考

目指すゴールがはっきりしてて、現在地がわかってていて、その間に立ちはだかる問題も明らかになっていて、本当にそれが問題だと確信できていたら、意外とそのまま論理的に考えて答えが出ることもあります。

購入のコンバージョン上げようとしていて、ボトルネックになっているページがわかってたら、そのフローをユーザビリティテストしてみてみんなが迷ってるポイント明らかにして、後はそこのUIを改善していけばいい、みたいな。これはわかりやすい例ですけど、企画といってもそんなに突飛な発想とか、そういうのいらないケースも結構あります。いや、むしろそっちの方が多いのかもしれない。

だからやっぱり最初の調査分析フェーズと、本質的な問題を見極めることが大事なわけです。何度も繰り返して申し訳ないですけど、目指すゴールと現在地とその間に横たわる問題が明確になっていれば、勝ったも同然です。後は論理的に順序立てて筋道を追って考えていく。そうして企画を組み立てていきます。論理的思考で企画するケースです。

f:id:nmy:20201129010853p:plain

飛躍的発想

だけどそう一筋縄でいかないこともあります。ゴールと現在地の間に立ちはだかる問題が山ほどあったり、めちゃくちゃ巨大だったり、真っ直ぐ解決に進めない制約が存在していたり。問題がてんこ盛りで何から手を付けたらいいのかわからないケース。進出しようとしているサービスドメインに超巨大な競合が存在してネットワーク外部性でガチガチのケース。予算や期間の制約であれもこれもできないケース。そういう時に、飛躍的な発想が必要になってくる。いわゆるアイデアが必要になる場面です。

f:id:nmy:20201129010908p:plain

任天堂の宮本茂さんは「アイデアというのは複数の問題を一気に解決するものである」と言われていたそうです。有名な言葉ですよね。この記事を読んでから、企画を考えるときによくこの言葉を思い出します。

複数の問題を一気に解決するには、複数の問題を正しく認識していないといけません。やっぱりそこが大事です。問題だと思っていたことの根源を辿っていくと、本当の問題は実は別に存在していたりする。本当の問題を見極めて、正しいKPIを設定するのがどれだけ難しいか。でも正しく問題を認識できたら、それらを一気に解決する方法を閃くだけです。

閃くだけ。そんなわけないですよね。それがまた難しいんだから。ではアイデアはどうやったら閃くことが出来るのか。

アイデアを閃く方法

頭の中を材料でいっぱいにして、ついつい考えちゃう状態を作って走る。それが私の考える、アイデアを閃く方法です。

f:id:nmy:20201209011504p:plain

「あっ、いいこと考えた!」っていう時ありますよね。閃きの瞬間です。閃きが起こる時、頭の中にあるあれとこれとそれが考えもしなかった経路でぱっとつながります。思いついてしまえば何だそんなことかと、当たり前のように感じるでしょう。でもその経路を知る前は、あれとこれがつながるなんて全く思いつきもしなない。

意外な経路を発見するには、あれやこれや、頭の中に繋がるための材料が沢山あればあるほど良い。例えばサービスの定量的なデータ、どのページがどれだけみられていて、コンバージョンに至るまでのボトルネックがどこで、リテンションの障壁は何なのか。例えば定性的な情報、ユーザーさんから日々送られている問い合わせにどんなものがあって、ユーザーインタビューしたときに田中さんが言ってたあの一言とか、あの時見せたあの表情がひっかかってるとか。他にも最近の技術でこういうことができるようになってるとか、チームメンバーの誰々が最近こういう開発したいと言ってたとか。競合サービスの弱みだったり、自社の強みだったり、最近の市場の状況だったり。

サービスの周りにある色んな情報が材料として頭の中にパンパンに入っていればいるだけ、意外な経路が現れてくるものです。

頭が材料でパンパンになったら、あとは閃きやすい状態に自分を持っていきます。アイデアを閃くとき、机に向かってうーんうーんと考え続けてひらめくケースもあるでしょう。でも意外と、全く仕事とは関係ない場所で閃くこと多くないですか。

前にNHKスペシャルでやってたんですけど、脳って「ぼーっと」している時に閃きやすいんですって。人はぼーっとしているときに脳の広い領域が活性化している「デフォルト・モード・ネットワーク」という状態になって、無意識のうちに脳の中の記憶の断片がつなぎあわされて、閃きが生まれているんじゃないかと。まあ一つの説なので眉唾ですけど、でも言われてみれば確かにそういうことあるなと。

ぼーっとぼんやり何かを考えている時って、どんな時でしょうか。お風呂で頭を洗っている時、トイレで用を足してる時、散歩している時、ジョギングしている時、寝る前にベッドでまどろんでいる時など、スマートフォンやPCの画面を見ていない時が多くないですか。

f:id:nmy:20201209011022p:plain

私の場合は圧倒的に走っている時が多いです。よく平日の朝、仕事の前に1時間くらい走るんですが、その時にその日にやる仕事のことをぼんやり考えたりするんですよね。これまでの企画の多くは、そのランニングコースで生まれました。特に山を走ってる時が多いです。加えて何か解決しなきゃいけない問題があって、仕事が終わってもどうにもモヤモヤ気になって、ついつい想いを馳せてしまう状態になっている時です。ありますよね、風呂入ってる時にもつい仕事のこと考えちゃってたとか。

そうやって、何となくついつい考えちゃう状態を作り上げましょう。頭の中が材料でパンパンだったら、つい考えてしまうはずです。そのことで頭がいっぱいなんだから。後はその状態で走るわけですが、走るの部分は人それぞれです。散歩がいい人もいれば、シャワーがいい人も、トイレがいい人もいます。スマホやPCやテレビを見てない時間を意識的に作るのもいいと思います。それでぼーっとして、ぼんやりと考えをめぐらせる。

そうすればアイデアは閃きます。たぶん。